脳死と植物状態の違い

横浜市青葉区の訪問専門 工藤はり灸治療院の工藤真です。

患者様からいただいたご質問についてお答えします。

今回は【 脳死と植物状態の違い 】をお伝えします。

【 脳死とは 】

脳幹[ノウカン](呼吸・循環機能の調節や意識の伝達など、生きていくために必要な働きを司る部分)を含む脳全体の機能が失われた状態です。

病気や事故などが原因で脳幹が機能しなくなると、回復する可能性はほとんどありません。

薬や人工呼吸器などによってしばらくの間(多くは数日以内)心臓を動かし続けることはできますが、 やがて心臓も停止してしまいます。

長期間、心臓が動いていた症例もありますが心停止後に解剖した結果、脳細胞は死滅していたそうです。

世界の多くの国では脳死は人の死とされ、大脳、小脳、脳幹のすべての機能が失われた状態を脳死としています。イギリスのように脳幹のみの機能の喪失を[ 脳死 ]としている国もあります。

【 植物状態とは 】

遷延性意識障害と呼ばれます。

思考や運動に関わる大脳の機能が失われた状態です。

脳幹の機能が残っていて、自分で呼吸できる場合が多く、回復する可能性もあります。

日本脳神経外科学会によると、以下の6項目が、治療にもかかわらず3か月以上続いた場合を遷延性意識障害(植物状態)と定義づけられています。診断の基準でもあります。 

1. 自力移動ができない。

2. 自力摂食ができない。

3. 糞尿失禁がある。

4. 声を出しても意味のある発語が全くできない。

5. 簡単な命令には辛うじて応じることもできるが、意思疎通はほとんどできない。

6. 眼球は動いていても認識することはできない。

植物状態の患者は、平均3年程度の余命といわれていますが、10年以上生きる患者も少なくありません。植物状態が根本的に回復する可能性は乏しいとされていますが、会話や自力摂食ができるまでに回復した例もいくつかあります。

あるF1レーサーはスキー中の事故で脳を損傷し、意識が回復せず遷延性意識状態になりましたが、事故から約6か月後に意識を回復して病院でリハビリを開始。 その3か月後には自宅療養になりました。

今回の【脳死と植物状態の違い】少しはお役に立てたでしょうか?

脳死と植物状態は、根本的に全く違うものなのですが混同している方は多いと思います。ニュースなどを見聞きする時の参考になれば幸いです。

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